6月18日夕方、雨のふる中「ティフトン」が届いた。 段ボール箱で67箱。いよいよ鳥取方式での芝生化事業の開始だ。 芝生は英語で書くとGrassで「草、芝」とある。 つまり、雑草も芝も刈りそろえられると芝生となる。 鳥取方式を推進しているグリーンスポーツ鳥取では、芝生をこう定義している。 【種類を問わないで草や芝を頻繁に刈って出来上がった、転んでも痛くない絨毯のようなもの】
ではなぜ芝生がよいのか。
屋外での遊びやスポーツをするのに転んでも痛くなく、けがの心配も少ない天然芝生は、思いっきり動き回れるので、土のグラウンドよりずっと楽しいのだ。
作業の前にポット苗に注目してみよう。
ポット苗の名前の通り5cm×5cmで高さ5.2cmでちょっとしたショートケーキみたいなもの、それが28cm×28cmのパッケージに25個ずつ入っているのだ。
明澄幼稚園では160パッケージ4,000ポット、岩根4丁目若木児童遊園では80パッケージ2,000ポット、袖ケ浦市のぞみ野では160パッケージ4,000ポットを植えこむ作業となり、改めて事業の大きさを知ることになる。明澄幼稚園 敷地1,000m2 ポット苗4,000個 ◆ 事前の準備◆ 園庭の芝生化を実施するに当り問題となってくるのが水」の問題である。 ポット苗を植えた後、日に2回ほど水撒きをしなくてはならないことから、時間と水を必要とする。 幸いにも明澄幼稚園では、日頃から園庭の水撒きに共同水道(地下水)を利用していたため、水の確保については解決を見たが、1,000m2ある園庭の水撒き作業はかなりの時間を要し、休園日などもあることから、今回園独自に埋設型のスプリンクラー6基を設置することになった。 そのスプリンクラーはかなりの水量を必要とし、現状の水量ではスプリンクラーがうまく機能しないため、一度タンクに貯め別のポンプで送る方式を取り入れ、6月9日か らスプリンクラーの工事が行われ、最後に園庭を整地して準備が完了した。 ◆ポット苗植え込み当日◆ 明け方まで降っていた雨も回復に向かい、7時30分に委員会メンバーが集合し準備を開始した。 先ずはポット苗を植えるための線を引く作業。 グラウンドを均すトンボを改良したお手製の道具を使用して、50cm間隔に縦横碁盤の目のように引いて行く。 同時進行して25ポット1シートの苗をポットから外し園庭各所に配る。この頃から、続々と園児とその保護者が集まり始め、9時30分から開会式が始まった。 開会式では大沢会長より、CO2の削減や環境問題を考える中では緑化推進は非常に重要です。 皆さんで頑張って芝の苗を植えて大切に育てて下さいと挨拶があり、その後、社会貢献委員会が芝生化に関して様々なアドバイスを頂いている、NPO法人「芝生化プロジェクト」の佐藤代表より、ポット苗の植え込みについての説明を頂き、一斉にポット苗の植え込みを開始した。 今回参加した園児と保護者は182名、職員14名、そして法人会役員を始めとする女性部会、青年部会の関係者総勢230名。 時折雨がぱらつくこともあったが、3ヶ月後には一面緑のじゅうたんが広がることを期待して作業が進む。 また園児たちも親子で協力しながら「早く大きくなぁれ」と願って植えていたことが印象に残る。 参加人数が多いためか、4,000あったポットの苗は、ほんの40分程度ですべて植えられ、その様子はさながら田植えの終わった水田のような感じであった。 ◆経過◆ ポット苗を植えた次の日から、既にランナーと呼ばれる茎が横に広がり、日毎に成長していることが伺える。 10日目くらいから、蜘蛛の足のように四方八方にランナーを伸ばし、隣の苗と重なり始めている。養生期間不要といわれる「鳥取方式」においても、本来2ヶ月くらいの養生が必要と聞いたが、幼稚園では園庭を使わないわけにはいかない。 ある程度注意を払いながら使用しているが、遊具周りなど頻繁に遊ぶところでは、芝の生長は悪くあまりいい状況とは言えない。 園庭の使用する方法を考えなくてはならないと感じている。 ◆ おわりに◆ 「芝生化事業」は「エコ」「健康」「飛砂防止」など良い点がいっぱいである。 誠に素晴らしい事業であり、学校のグラウンドや幼稚園・保育園の園庭、児童公園などに広がって行くことを個人的にも期待している。 しかしながら、植えた直後の養生、水の問題はかなりの負担であることも事実である。 今回3箇所でポット苗を植えたが、その中でも一番利用頻度が高い場所が幼稚園であり、また、一面芝が広がった時に反響が大きいのも幼稚園ではないかと思う。 そんな訳で試験的な実施とは言いながらも、この場所では絶対に失敗したくないという思いが強い。 しかしながら、幼稚園児から養生のために園庭を取りあげてしまうのも苦しい。 わずかな期間を園児たちには「芝は生き物だから大切にしてあげようね」と声をかけながら理解や協力を求めていくしかない。 今後、学校や幼稚園・保育園に対してこの事業を継続していくには、養生のいらないロールタイプの芝を考えるのも選択肢のひとつだと思う。 しかしながらこの施工方法は、費用が高くなってしまうというデメリットもあわせもつ。 このことが各市行政と協力しながら普及させていくことが必要ではないかと考える。 いずれにしても、この地域で「校庭・園庭の芝生化」を広げて行くためには、芝生の良さをアピールし、今回の事例を踏まえ様々な方法を検討していく必要があると思う。 (文責 社会貢献委員会 青木和彦・鶴岡大治)
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「芝生化プロジェクト経過報告・その1」 6月19日に、木更津、富津、袖ケ浦の3箇所で植え込みをした木更津法人会の緑化事業「芝生化プロジェクト」は、おかげさまで今夏の記録的な暑さに負けることなく順調に生育いたしました。関係各位の手厚い管理をいただき、素晴らしい緑のじゅうたんができあがった経過報告であります。 9月26日には、青堀・明澄幼稚園では芝生開きを兼ねた運動会が開催され、緑のじゅうたんの上を子供たちが裸足で懸命に駆け回りました。写真は9月21日、正副会長会議の前に予行練習を視察したものですが、園児たちの歓声が聞こえてきそうであります。初期投資として、スプリンクラーを6基設置していただき、毎日の水遣りを徹底していただいたこと、植え込みから1ヶ月は、園児たちに協力していただき、できるだけ芝生に入らないように養生機関を設けたことが成功につながったと思われます。幼稚園の理事長、園長先生始め幼稚園関係者の方々、そして保護者の皆様の理解があってのことと感謝申し上げます。 9月終盤で実施した冬芝の播種作業とその育成状況については、次回の広報誌で報告させていただきます。また、袖ケ浦市や木更津市でも法人会の「芝生化プロジェクト」に興味を示していただき情報やデータが欲しいというお話が来ています。いや〜面白くなってきましたよ〜。 (社会貢献委員長 佐藤信吉)
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